平成１７年に栃木県今市市（現日光市）で小学１年の吉田有希（ゆき）ちゃん＝当時（７）＝が下校中に連れ去られ、茨城県内で遺体が発見された事件で、別の事件で栃木県警に逮捕された同県鹿沼市の３０代の無職男が、事件への関与を示唆する供述を一時していたことが１７日、捜査関係者への取材で分かった。供述に具体性がなく曖昧な部分もあることから、捜査本部は慎重に捜査を進めている。

　捜査関係者によると、男は別の事件で逮捕され、起訴勾留中に、自分から有希ちゃんの事件について話しだして関与を示唆。遺棄現場付近を「働いていて土地勘がある」などと説明したという。事件関与を示唆したのは約２カ月前で、最近は「忘れた」「どうだったかな」などと話しているといい、現時点で裏付ける物証は見つかっていない。

　男は有希ちゃんの自宅近くに住んでいたこともあるという。（１）年齢層（２）土地勘（３）車を所有している－など、事件後に捜査本部が行ったプロファイリング（犯人像推測）で、複数いる捜査対象者の一人だった。

　有希ちゃんは１７年１２月１日、下校途中に自宅から約１キロ離れた三差路付近で友達と別れた後、何者かに連れ去られ、翌２日に約６５キロ離れた茨城県常陸大宮市内の山林で遺体で見つかった。遺体には胸を中心に鋭利な刃物によるとみられる刺し傷が十数カ所あり、着衣やランドセルなどは見つかっていない。

　遺体の付着物から採取されたＤＮＡ型は当初、有力な手掛かりとみられていたが、当時の栃木県警の捜査幹部のものが誤って付着したことが判明。物証が乏しく捜査は難航していた。